Suica・PASMOを駅に着いてから忘れたことに気がついて「交通系ICカードはデポジットもチャージ代金も払い戻しすれば全額戻ってくるから」と新たなカードを発行することありますよね。
有効期限があるわけではないからと、つい払い戻しのタイミングを先延ばしにしまいがちです。
実際のところは、「最終利用から10年使用がない場合失効する」となっています。
Suica・PASMOは券売機で手軽に発行できることから、あまり払い戻しをする上での詳細なルールを知らないことが多いですね。
今回は交通系ICカード・電子マネーSuicaとPASMOの払い戻しのコツを解説したいと思います。
SuicaとPASMO
SuicaとPASMOは、切符の代わりに利用できる交通系ICカード・お財布の代わりに利用できる電子マネーです。2013年から全国の交通系ICカードの相互利用サービスが導入されたことから、どちらが便利であるか気にかけたことはありません。
しかし、払い戻しのルールには少し違いをあるようです。実際に駅員さんに手続きをお願いして検証してみました。
ICカードの種類
Suica・PASMOともにカードの種類を大きく分類すると、利用者情報をICカードに入力する『記名式』と入力しない『無記名式』の2種類になります。
さらに、『Suica定期券』と『Suica定期券(期限切れ)』の2種類を加えて4つのカテゴリーとしました。
※クレジット一体型Suica・PASMOは今回の調査には対象外としました。
払い戻し手数料
【Suicaの場合】
●「Suica定期券」
『定期券の払い戻し額』から『手数料220円』が引かれます。
●「My Suica(記名式)」
『チャージ残金』から『手数料220円』が引かれます。
●「My Suica(無記名)」
『チャージ残金』から『手数料220円』が引かれます。
●「My Suica(期限切れ)」
『チャージ残金』から『手数料220円』が引かれます。
【PASMOの場合】
●「記名PASMO」
払い戻し手数料が無料です。
チャージ残金+デポジット500円が返金されます。
●「無記名PASMO」「PASMO定期券(期限切れ)」
払い戻し手数料が無料です。
チャージ残金+デポジット500円が返金されます。
●「PASMO定期券(期限切れ)」
払い戻し手数料が無料です。
チャージ残金+デポジット500円が返金されます。
●「PASMO定期券」
『定期券部分の払い戻し額+チャージ残金』の合計から『手数料』が引かれます。
払い戻しのコツ
Suicaの場合
払い戻し手数料が220円であることは、前述したとおりですが、チャージ残金が0円の時には、手数料を引かれることなく、デポジット500円が払い戻しされます。
(残金が1円~219円の場合は、その全てが手数料に徴収されます)
その対象は「My Suica(記名式)」「Suica無記名」「Suica定期券(期限切れ)」です。
中途半端なチャージ残金がある場合は、Suica支払いができるコンビニなどで残金以上の商品を買いましょう。不足分を現金で払うことでチャージ残金0円になります。
一方で「Suica定期券」は、『定期券代の払い戻し金額』から『手数料』が引いかれてしまうため、チャージ残金が0円であっても手数料220円はしっかり徴収されてしまいます。
PASMOの場合
払い戻し手数料はかかりません。チャージ残金にデポジット500円を加えた金額が払い戻しされますので、チャージ残金を気にすることなく安心です。
その対象は「記名PASMO」「無記名PASMO」「PASMO定期券(期限切れ)」です。
一方、「PASMO定期券」は、『定期券代の払戻し金額』から『手数料』引かれてしまう。(払い戻し手数料の費用は各私鉄会社の規定による)チャージ残金が0円であっても手数料は徴収されてしまいます。
手続きをする場所と持ち物
【Suicaの場合】
●「Suica無記名」
場 所:JRみどりの窓口
持ち物:なし
注意点:私鉄駅では手続き不可・券売機不可・JR駅窓口不可
●「My Suica(記名式)」「Suica定期券(期限切れ)」「Suica定期券」
場 所:みどりの窓口
持ち物:本人確認の公的証明書
注意点:私鉄駅では手続き不可・券売機不可・JR駅窓口不可
【PASMOの場合】
●「無記名PASMO」
場 所:関東圏の全ての私鉄駅改札窓口(一部を除く)
持ち物:なし
注意点:JRでは手続き不可・券売機不可
●「記名PASMO」
場 所:関東圏の全ての私鉄駅改札窓口(一部を除く)
持ち物:本人確認の公的証明書
注意点:JRでは手続き不可・券売機不可
●「PASMO定期券(期限切れ)」「PASMO定期券」
場 所:定期券を*購入した私鉄会社の全ての駅改札窓口
持ち物:本人確認の公的証明書
注意点:JRでは手続き不可・券売機不可
*「購入した私鉄会社」とは、厳密にいうと「PASMO鉄道事業者」のことです。
鉄道事業者の詳細一覧
東京メトロの鉄道事業者名は「東京地下鉄」です。東京地下鉄には、銀座線・日比谷線・千代田線と様々な路線がありますが、運用事業者はすべて東京地下鉄になります。購入した定期券は鉄道事業者が同じであれば、すべての路線・駅改札窓口で手続きが可能です。
磁気不良の手続き
磁気不良で使用できなくなった際は、「障害再発行」手続きが必要です。
一度情報を整理しましょう。『磁気不良が理由でカードの使用はできないが、現時点でカードは手元にある』ことが障害再発行の条件です。
紛失してしまい現時点において手元にカードがない「紛失再発行」と区別することをご理解ください。
では、手続き場所は次の通りです。
【Suicaの場合】
申請場所:JR各駅窓口・みどりの窓口
受取場所:みどりの窓口
※注意点:申請はJR駅窓口でも可能だが、受取はみどりの窓口のみが可能です。
【PASMOの場合】
申請場所:すべてのPASMO鉄道事業者の駅窓口
受取場所:PASMOを発行した鉄道事業者の駅窓口
手続きについては、各窓口に障害であることを申出でると「再発行申請書」の記入を案内されます。記入事項は1分程度のボリュームです。
次に、駅員さんが「障害再発行整理票(*ネーミングは各事業者によって異なります)」を発行してくれます。
ここで交通系ICカードの再発行のポイントですが「即日発行できない」ということです。
再発行登録日の翌日から14日以内に、前述の受取場所での手続きとなります。
持ち物は「障害再発行整理票」+「磁気不良Suica・PASMO」です。
※事前調べの結果、本人確認の公的証明書は不要とのことでしたが、私のケースでは提示を求められましたので、一応持参することを推奨します
なお、障害再発行の場合、再発行手数料、デポジットはかかりません。
一定期間の使用がないとロックがかかる
Suica・PASMOともに、記名式と定期券のカードに限り、一定期間の使用がないとロックがかかります。
※無記名のSuica・PASMOは該当しません。
下記引用は、「東日本旅客鉄道会社Suica電子マネー取扱規則 第6条-⑸」の条文です。Suica電子マネーが利用できない場合について触れています。
詳細はこちら「Suicaに関する規約・特約」
(5)ICカード等の発行事業者の定めるものに加えて、Suica電子マネーの利用又はSuica電子マネーのチャージのいずれかの取扱いを行った日の翌日を起算として、当社の定める一定期間これらの取り扱いが行われなかった場合。ただし、発行者が別に定めるところにより発行する記名人式のICカード等に限ります。
引用:東日本旅客鉄道会社Suica電子マネー取扱規則第6条⑸
続いてPASMOについては、このようになっています。
詳細はこちら「PASMO取扱規則」
PASMOの失効
第12条
PASMOの交換、使用又はバリューのチャージのいずれかの取扱いを行った日の翌日を起算日として、10年間これらの取扱いが行われない場合には、PASMOは失効する。
引用:PASMOウェブサイト
解除方法は、最終利用日付の更新処理が必要になります。
Suica・PASMOの発行元・カードの種類に関係なくJR・全ての私鉄の駅改札窓口で数秒で解除してもらえます。その際に、書類などの手続きはありません。
もう一つの方法は、券売機でチャージをすることです。履歴確認やチャージ残金を確認するだけではロックの解除はできないようです。
一定期間の利用がないとロックがかかることは、あまり世間では知られていませんね。ICカードが利用できなくなった際は、磁気不良とロックの両面を疑ってみてください。
私もこの方法で、いつの間にか溜まってしまった。Suica・PASMOで(チャージ残高を含め)「磁気不良1枚、定期券期限切れ1枚、無記名2枚」払い戻し合計4,028円を手に入れました。
まとめ
いかがでしょうか。払い戻しのコツは、Suicaには払い戻し手数料がある(220円)、PASMOにはない(2014年4月から)ということや、Suicaの払い戻し手数料を抑える方法は、チャージ残金を0円にすることです。
効率よくチャージ残金を調節する方法は、Suica支払いができるコンビニなどで残金以上の商品を買い、不足分を現金で払いましょう。これが払い戻しで損をしないコツです。